「おしどり贈与」は奥様への感謝のプレゼント、相続対策にもなります。

相続

相続税=富裕層の税ではなく、身近な税になっています。「おしどり贈与」を活用し、世帯主(夫)の資産を配偶者(妻)名義に変更しましょう。相続税の大きな節税方法になります。

2015年の税制改正で、相続税課税対象者は4.4%から8%以上に増えました。サラリーマン世帯の人が、頑張って貯めた資産から、国は多額の税金が徴収するようになりました。相続税は数百万にもなります。もったいない話です。

【相続税課税対象者となる可能性がある人とは】

①退職金も含めた財産が、相続税の基礎控除額以上になる見込みの人

(基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人)

②両親から土地や建物を相続する可能性がある人(相続額に注意が必要)

③一戸建て住宅、マンションに住んでいる人(宅地建物の相続評価額に注意が必要

このような人は、一度自分の総財産を確認してみて下さい。

相続税は、一部の裕福な人の話で、関係ないと思われている人。一般的なサラリーマンの多くの人も、相続税の対象になりました。残された配偶者(妻)や子供のためにも、一度今回の記事を読んで自分の財産を整理してみましょう。

今回の記事は、「おしどり贈与」を活用した相続対策について紹介いたします。相続人になる子供のためにも、夫婦で資産を分割しておくことを提案します。

1.おしどり贈与とは、

夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除の特例のことです。

この特例の概要は、「婚姻期間が20年以上の夫婦の間で、居住用不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与が行われた場合、基礎控除110万円のほかに最高2,000万円まで控除(配偶者控除)できる」という特例です。2110万円まで非課税になります。


2.おしどり贈与の特例を活用して、メリットがある人は、

メリットがある人は限定されますが、次の条件に当てはまる人は検討する価値があります。

  • ①     奥様への感謝を込めたプレゼントをしたい方
    例えば、自分名義の資産が少ないと不満を持っている奥様への感謝の気持
  • ②     残す資産に相続税がかからないようにしたい方
    例えば、法廷相続人が、配偶者+子供2人の場合は基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続3人)=4800万円以上の方。

 相続税率は最低10%以上の累進課税がかかります。

相続税の基礎控除額は、夫婦別々に控除されます。資産はできるだけ夫婦に分散しておくことで相続税対策(節税)につながります。

3.税改正で、一般的なサラリーマンからも相続税を徴収

一般的なサラリーマン世帯の方も夫婦の資産を計算してみてください。夫名義の資産に偏っている場合は相続対策を考えてください。

相続税など関係ないと思っていた一般的なサラリーマンでも、無駄遣いをせずに節約し、資産運用で利益が出ている人であれば、相続税の基礎控除額を超えるサラリーマンの人は多くなってきています。

頑張って資産を増やしているサラリーマンからも税金を取るために、国は2015年(平成27年)1月から相続税法が改正され、基礎控除額が大幅に減額されました。改正により相続税の支払い対象者が大幅に増えました。

もし両親が残してくれる資産がなどがある場合は、遺産の土地建物も含めた資産額の概算を計算しておくべきです。

2015年の法改正で相続税の基礎控除額が減額されたため、両親から相続する土地建物がある人などは、すぐに相続税の基礎控除額を超える場合があります。早い目の相続対策を考えましょう。

相続税対策を考える場合、両親から受け取る遺産内容と子供等に残す資産内容を総合的に考える必要があります。

これまで貯めた資産は、夫婦でゆとりある老後生活のライフプランの実現に使うことが一番です。その次に残る資産を夫婦に分割して相続税の節税対策を行いましょう。

4.「おしどり贈与」で相続対策を行ったライフプラン例(想定)

世帯主(夫)の資産を配偶者(妻)に年間110万円以上を渡してしまうと贈与税がかかってしまいます。

世帯主(夫)の資産を配偶者(妻)の名義にして夫婦の資産を分散させる方法で、非課税になる「おしどり贈与」を活用する マネープラン例を紹介しますので、是非参考にしてください。

モデル夫婦(想定)
  • 少し裕福な、一般的なサラリーマンです。
  • 妻は専業主婦(パートのみ)でこれまで子育て、家計のやりくりをして頑張ってきました。
  • 一戸建に住んでおり、住宅ローンも完済し、2人の子供も結婚し独立しています。
  • 定年の60歳前に借金もなくなり安定した生活を送れるようになり資産運用も本格的に開始しています。

妻は、これまで頑張ってきたのに自分名義の資産が少ないと時折、愚痴が出ていました。

そこで提案するのが、退職金の有効な活用方法として、奥様の感謝の気持ちを込めたおしどり贈与です。

定年を迎え、これからの「ゆとりある老後」と「相続対策」を考えたライフプランを立てるため、初めに夫婦の資産の整理を行います。

モデル夫婦の資産は(想定)
  • 夫の資産は、退職金と資産運用と夫名義のマイホームと両親からの遺産で合計6000万円ほど
    現在の資産は、相続税の基礎控除額4800万円を超えています。
  • 妻の資産は、タンス預金と両親からの遺産で1千万円少し

提案するマネープランは次の通りです。
  • 妻におしどり贈与し、2000万円を頭金にして、老後のための新たな3000万円のマンションを、妻名義2000万円、夫名義1000万円として、夫婦名義で購入し引っ越しをします。
  • 夫名義の1000万円は、住宅ローンを組みます。
住宅ローンを組むメリット
  • マイホームのローン利率は0.5%前後ですので、資産運用している預金を解約しないでローンを組むことをお奨めします。
  • 89歳までローンが組むことができます。ローン返済額は、およそ月4万円です。
  • 10年間はローン控除(所得税控除)も適用されます。

これで妻の愚痴に対して感謝の気持ちを持って答えることができました。おしどり贈与を活用し、資産を妻に移動することで、夫婦の資産は両方とも相続税基礎控除額以下になります。

さらに、従前住んでいた住宅の活用、
  • 売却しローン返済することもできます。
  • 運用する目的で、賃貸にし、家賃収入を得る。老後の費用に充てることもできます。

家賃収入があれば、ゆとりのある老後生活の資金にもできます。状況に応じて色々な運用の選択肢ができます。

おしどり贈与は、確定申告が必要です。

確定申告する必要があります。マンションの売買契約書、住民票戸籍謄本などの書類の提出など少し手間ですが、決して難しいことはありません。おしどり贈与には条件があるので、事前に税務署に確認すれば丁寧に教えてくれます。

5.相続税で誤解する考え方についても紹介します。

相続税の配偶者控除は1億6千万円もあります。上述の例の配偶者が夫の資産およそ6千万円をすべて相続しても非課税になるのでおしどり贈与しなくてもいいように思うかもしれません。

しかし、夫の資産を相続したあと、配偶者の資産が基礎控除額を超えてしまうと、つぎに子供が相続するときに課税されてしまいます。

このため、「おしどり贈与」を活用し、夫の資産を配偶者に移し分散させて、夫婦ともに相続税基礎控除額以下にしておけば相続税はかかりません。

ライフプラン例は、夫が先に亡くなる予定ですので😂、夫の資産は4800万円を超えないようにしておく、妻(配偶者)の資産は4200万円超えないようにしておく、これであれば相続税がかからないことになります。

夫の資産を相続するときは、妻(配偶者)の資産が4200万円を超えない額まで相続でき。残りを子供2人が相続するようにします。そうすれば次に妻(配偶者)の資産を子供が2人で相続するときも非課税となります。

6.おしどり贈与の注意点

おしどり贈与の多くは夫から長年つれそった妻への感謝のしるしであると同時に、妻の老後の生活保障という意味合いがあります。 しかし現行民法では相続人の間の公平のため、こうした生前贈与を「特別受益」として扱い、その分だけ法定相続分を減らすという規定があります。 この計算は「持ち戻し」といいます。 おしどり贈与の分が持ち戻しされると、妻の老後の生活保障という意味合いが薄れてしまいます。

もし相続人の間で、相続でトラブルになる可能性がある場合は、その対策として、夫が遺言や生前の言動などで「持ち戻し免除」の意思表示をしていれば、特別受益に含まれず、妻の相続分を減らすことはありません。

まとめ

  • 最近、老後資金が2000万円不足するなどのニュースが流れ、一般的なサラリーマンの方も資産を増やす努力をされていますので、相続税の基礎控除額を超える対象世帯はさらに増えてくると思われます。夫婦のどちらかに資産が偏ると、相続税がとられ、損する可能性が出てきますので注意してください。
  • 夫婦の資産を確認して計算してみましょう。そして夫婦の年金と資産に応じた、ゆとりのある老後生活を送るマネープランをを立てます。それでも資産が残る場合は、夫婦の資産は、おしどり贈与、暦年贈与等を活用し、できるだけ、夫婦で分散して、夫婦ともに相続税基礎控除額以下にしておきましょう。

(最後まで読んでいただきありがとうございます。)

  • 今後、相続対策方法の、暦年贈与や生命保険の非課税財産の活用、マンションへの住み替えなどによる相続税対策等、サラリーマンのための相続対策については別途記事で紹介したと思います。
  • 詳細を知りたい場合は、税理士、ファイナンシャルプランナー等の税の専門家に相談してください。
  • 将来、本ブログでの相談受付も、考えていますが、今は、ブログの記事を増やすことと、見栄えのいいブログにすることでいっぱいで、しばらくお待ちください

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